忌まわしき思い出

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アレクサンダー…… 通称アレクは当時からフレンドリーだった。 誰とでも仲良くできる彼は友達も多かったように思う。 親が大リーガーということもあってとにかく周りからチヤホヤされていた。 そんなアレクが私は苦手だった。 自分のパパでもあるかもしれない。 でも、それは自分以外の誰かのワケであって自分ではない。 まるでアレク自身が凄いんだと言わんばかりの様子に私は不快感を持っていた。 キンダー卒業後、アレクとは小学校は別だと安堵していた。 ところがだ。 蓋を開けてみればまたもやそこにアレクがいた。 聞けば、直前になってアレクが学校を変えたいと言い出したという。 同じキンダー出身だったが極力近づかないようにしていた。 ところがそうはいかなかった。 ことあるごとに干渉してくるアレク。 『ちょっかい』とういヤツだ。 関わりたくない。 スルーすればそのうちそれもなくなるだろう。 だが、私への悪戯はエスカレートしていった。 それならと口頭で打ち負かそうとすれば、あちらも頭を働かせる。 とにかく私にとって厄介な存在だった。 そんな空間(ところ)から早く去りたい私は学校が終わるとすぐにお迎えの車が待つ校外へ。 どんなに忙しくてもゆうちゃんは都合をつけてお迎えにきてくれていた。 落ち着きがあって穏やかで優しい目を向けてくれるゆうちゃん。 そこに行けば全てがリセットされる。 子供染みたアレクなど比べるに値しない大人の彼。 彼と会えるのならアレクと同じ空間にいることさえも我慢できた。
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