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マンションに着くと足早に彼が車から出ていく。
祐「…おいで?」
その時間が待ち遠しいのだろう。
車の中から出ようとする私の手を引けば、私は一気に彼の腕の中へ。
いつもなら車の外に出てくる小笠原さんを待つことなくマンション内へ進んでいく彼。
梨乃「…ゆ…ゆうちゃんっ……小笠原さんは……?」
祐「いいから……早く……」
エレベーターのボタンを押し中へ私を押し込めると、彼は自身の手を絡ませた。
梨乃「…そんな急がなくても……」
祐「…時間は有限だから……俺は梨乃との一瞬を無駄にしたくないんだ。」
愛し合うその一瞬を彼は大事にしているのだろう。
私などまだ子供だからだろう。
一瞬というより総合的な感覚でしか彼とのその時間を感じられていない気がする。
それでも、彼がそういう風に私との時間を大事に考えてくれていることは嬉しい。
彼の今の表情はどんなだろう。
確かめたくて、そっと彼の顔を見ればバチリと視線が合う。
その瞬間、彼に抱き寄せられた。
祐「…無理はさせないから安心して……」
甘く囁くようなその声に、またもや心臓が飛び跳ねそうになったその時、エレベーターが停まった。
また、彼との甘い時間が始まるのだと思うと私の心拍数は更に速くなっていくのだった。
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