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生徒会室のドアを開けると梨乃は窓際に立っていた。
ドアを開けた瞬間、通った風によって梨乃の髪がフワッとなびく。
乱れた髪をなおすようにしてこちらを見るその目は高校生とは思えないほどの色気を醸し出している。
そんな彼女に見惚れていたのは俺だけではなさそうだ。
アレク「暫く会わないうちにそんな目ができるようになったんだね。」
梨乃「余計なお世話よ。それで?どうして貴方がここにいるの?」
挨拶もそこそこに本題に入る梨乃。
事前にアレクとの関係を聞いてはいたが、よほど苦手なのか。
アレク「久しぶりに会ったと思ったら第一声がそれとはね。あぁ、まぁいい。…Dadが企業してね。日本の会社と取引することになったんだ。暫くいるっていうから俺もついてきたってとこかな。ちょうど学期終わったところだからね。」
アメリカでは確か春学期が終わるのは今頃だ。
そして9月の新学期まで休みとなる。
梨乃「まさか…その間の暇つぶしにきたってことじゃないでしょうね?」
アレク「まぁ、確かに?時間は持て余してた。Momも日本で仕事してるし、一人でロスにいてもね。いずれ来ようと思ってたしいいタイミングだった。」
梨乃「だからって何もこんな田舎にこなくてもいいでしょ?」
確かにそうだ。
わざわざこんな田舎じゃなくても、もっと都会の方がアレクには向いていそうな気がするのだが。
アレク「田舎……でもRinoがいるからね。退屈しなさそうだし?」
そう言って悪戯な目を梨乃に向けた。
梨乃「…アレク……言っておくけど、私、貴方の相手するほど暇じゃない。」
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