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梨乃「いろいろあるの。詮索しないで。」
そんな梨乃を見るアレクの瞳は優しく完全に恋しているように思える。
アレク「分かったよ。」
梨乃「それと、パパのことは絶対に口外しないで。」
アレク「え……スーパースターだったってこと?」
梨乃「私には関係のないことだから。私、穏やかに過ごしたいの。これまでもここにいる奏多にしか言ってないの。」
アレク「どうして?誇らしいじゃないか。」
奏多「ここは田舎だからね。民族性っていうのかな。梨乃がやりにくくなるんだ。」
これまで黙っていた俺だったが、俺の名前が出たところで少し中に入ってみる。
アレク「何?君は梨乃のDadのこと知ってるの?」
奏多「偶然知ったんだ。でも口外するつもりはない。梨乃が望まないからね。友達が嫌がることは俺はしない。」
アレク「…友達……それだけ?」
疑いのその眼差しは何を意味しているのか。
梨乃「奏多は私の親友。そして生徒会の副会長……vice president。とても頼りになるの。」
アレク「なるほどね。そういうこと。まぁ、Rinoのタイプとは少し違うか。」
そう言って牽制するアレクの目に俺は気づいてしまった。
俺に対抗心を燃やしているようだが、見当違いというものだ。
梨乃「分かったようなこと言わないでよ。奏多は私の大切な親友だから。悪戯したら許さないから。」
アレク「分かったよ。梨乃の友達は俺の友達さ。Hey ! Kanata! よろしく。」
アレクが俺に手を差し出すと強引に俺に手を握りしめた。
そして、再度俺に向けられた目はやはり挑発的で━━…
アレク「君とはいい関係を築けそうだ。」
そうは言うけれど、俺は……あまりいい関係を築ける気がしなかった―――…
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