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ふと目をやれば、アレクは私たちの方を見ていた。
梨乃「…関係ないし……」
思わず体ごと逸らすとゆうちゃんが言う。
祐「…なるほどね。そういうことか。」
彼が私の背にそっと手を置いた。
祐「さ、トラックへ行こう。タイムとらないとな。」
梨乃「あ……うん、そうだね。」
彼に言われるがまま私は彼とともにトラックへと向かう。
祐「バスケ行きたいんだよね?できる限り早く終われるようにしないとだ。」
そう言って優しい笑みを向けてくる彼の瞳がいつもと違って見えるのは気のせいだろうか。
梨乃「少しだけでもいいからみんなとバスケしたいの。だから…」
祐「分かってるよ。梨乃のことは俺が一番、理解ってるから……」
やっぱり彼のことが大好きだ。
私のことを一番に理解してくれる人はゆうちゃんしかいない。
今朝、アレクと再会してから平常心を失いかけていた私だった。
だけど、大人で大きく包んでくれる彼がいれば大丈夫。
アレクのことなんて―――…
見つめるその瞳に吸い込まれるようにして頷けば彼もまた頷いてくれる。
早く、彼と結ばれたい――…
そう、私たちはまだ完全に結ばれていない。
だけど……きっともうすぐ『その日』はやってくる…はず!?
そんな私たちをアレクは体育館のところから眺めていた。
アレク「…ユウ……オオイズミ……どうしてこんなところに?」
もうすぐ嵐が起こる――…
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