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陸上部の手伝いを終え、体育館に戻ってくるとアレクの姿はなかった。
アレクがいるかもしれないといったその憂鬱も杞憂に終わり、私は久しぶりにストレスを発散することができた。
体育館の時計はもう19時を示している。
(ゆうちゃんより先に帰りつきたい。)
急いで着替え、自転車置き場へ向かえばそこに奏多がいた。
奏多「お疲れ。送ってくよ。」
こうやって奏多は私をいつも送ってくれる。
奏多はパパとママの友人がやっている空手道場へ通っている。
うちの家から比較的近いということでいつも遠回りして送ってくれる。
生徒会役員の私たちはこの間に話をすることができる。
そういう意味でとても貴重な時間。
梨乃「いつもありがとう。」
何気ないこの日常が私にとったら心地よい。
初めてできた『親友』は異性。
こんな風にいる私たちを当初、生徒達は付き合っていると噂していた。
だけど、今では公認の『親友』であり『相棒』だ。
奏多「任せて。梨乃は俺がちゃんと送り届けるよ。」
自転車に跨ると私たちは帰路についた。
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