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学校を出て暫く自転車を走らせていると制服に入れてあったスマホが震えだした。
こんな時間に電話などあまり鳴ることはない。
ゆうちゃんからだろうか。
梨乃「奏多ー、ごめん。電話……」
奏多に声をかけ少しずつスピードを緩め、私は自転車を停める。
私の少し先を行っていた奏多もUターンして戻ってくる。
手早くポケットからスマホを取り出すとなんとそこにはママからの着信。
なんだか嫌な予感がする。
梨乃「…もしもし……ママ?」
スマホを耳に押し当てるとその先から聴こえたのはパパの声。
力『梨乃?今どこにいる?もうマンションにはいるのか?』
いつもなら自分のスマホから電話をかけるのに何故今日はママのスマホからかけてくるのか。
梨乃「まだ学校だよ。」
力「そうか。そしたらそのまま家に寄ってくれないか?」
嫌な予感は的中。
昨日からアレクがうちの旅館に泊まっている。
となると、歓迎会か何か開くつもりだろう。
力「ママがまた料理をたくさん作り過ぎてな。あぁ、ちょっと手伝ってくれないか。」
パパは何を考えているのだろうか。
旅館に戻れば嫌でもアレクと顔を合わせることになる。
パパのことだからきっとそのまま夕飯食べて帰れとか言うに違いない。
梨乃「じゃ、何かに詰めておいて。後でタイミングみて取りに行く。」
パパ「え…ぁ……えぇっ…いや、せっかくだしたまには一緒に…」
梨乃「何言ってんの?ついこの前まで一緒に食べてたでしょ。私、忙しいの。今週は総会あるし。」
間違いなくパパは私をアレクの歓迎会の場に来させようとしている。
パパ「総会って……あぁ、水曜日だろ?今日は月曜日……」
梨乃「月曜日だけどやることたくさんあるの。邪魔しないでよ。アレクの歓迎会でしょ?申し訳ないけど、私それは不参加で。じゃ…」
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