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半ば強制的にスマホを切ると今度はそれをバッグに入れた。
本当は電源を切ってしまいたい。
だけど、そうするとスマホのGPSが切れて何事かとゆうちゃんの会社のSPが飛んでくる。
自転車のカゴのバッグなら振動は伝わらないし放置しても大丈夫だ。
奏多「…家から?」
梨乃「…うん。あ、放っておいていいから。」
自転車のペダルに足を置くと私はぐんっと漕ぎ始めた。
梨乃「行こう?あ、そうだ。総会の日なんだけどね、奏多にお願いしたいことがあるの。」
明日もまた学校で顔を合わせなければいけない。
せめてそれまではアレクの存在など忘れていたい。
奏多「…俺に?…いいよ。会長の言うことなら何でも?」
私に気遣ってか奏多も話を合わせてくれる。
少し心配そうな表情をしているようにも思える。
けれど、私の忌まわしき過去に親友を付き合わせたくない。
彼自身も今とても大事な時なのだから。
私は何ごともなかったかのように会話を続けながらマンションへと向かった。
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