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いつの間にかパパが背後にいた。
どんなタイミングで奏多との話を切り上げたのか。
いくら私と話したいからといって少し失礼ではないか。
梨乃「行かないよ?」
私はキッパリと言い放った。
どうして私が天敵『アレク』と一緒に夕飯を食べなければいけないのか。
パパはママから私がアレクが苦手なことを聞いていなかったのだろうか。
力「頼むよ。今日だけでいい。ん、実はマイクも来てんだ。」
梨乃「…えっ……」
マイクとはアレクのパパであり、パパの元同僚で元大リーガーある。
力「わざわざ今日は時間作ってうちに来てくれてんだ。ん、おまえも世話になっただろ?」
ロスにいる時、マイク選手は私をとても可愛がってくれていた人だ。
アレクとは違って紳士でとてもカッコよくバッターとしても凄い人だった。
そんなマイク選手だから私だって逢いたい気持ちはある。
でも、マイク選手に会うということはアレクとも会うということ。
やっぱり……嫌だ。
梨乃「パパ、悪いんだけど、私本当に忙しいの。それにゆうちゃんのご飯も準備したいし……」
もうすぐ彼が帰ってくるはず。
少しでも彼の婚約者らしいことをしたい。
そして今夜こそ彼と―――…
力「あぁ、それなら……祐は今日はちょっと遅くなるって言ってたぞ?」
寝耳に水である。
梨乃「な……どうしてパパがそんなこと…?」
力「いや、電話したんだわ。梨乃借りていいかって。そしたらさ……って、あれ?聞いていなかったのか?」
梨乃「…っ……」
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