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ドアの向こうから顔を見せたのはなんと祐ちゃんだ。
アレク「…ユウ……」
アレクもまたその姿に驚き、さっきまで握っていた手首のチカラを緩めた。
その隙に私は手を引っ込める。
その一連の流れをゆうちゃんが見逃すわけはない。
祐「驚いたな。まさか梨乃が男の子を部屋に引き込んでいるなんて。」
完全なる誤解である。
梨乃「ち…違うよ。誤解!アレクが勝手に……」
祐「…アレクって、ロスにいた時の……覚えてるよ。やぁ、久しぶりだね。」
学校でその存在を確認していたはずなのに、まるで今初めて会ったみたいにゆうちゃんは振舞う。
一体何を考えているのだろうか。
そんなゆうちゃんに対してアレクはバツ悪そうに目を逸らしている!?
梨乃「アレク……トイレは一階だから……」
私はアレクをこの場から遠ざけようと誘導。
アレクへの説明はこの際後でいい。
とにかく、早くゆうちゃんの誤解を解きたい。
アレク「あぁ、そっか。……ありがとう。じゃ…」
どう見ても不自然過ぎる私とアレクとのやりとり。
ゆうちゃんの口元には意味深な笑み。
疑っているのは間違いなさそうだ。
アレクが部屋から出ていく━━…
暫く、ゆうちゃんは耳を凝らしているようだった。
アレクが一階へ降りるのを待っているのだろう。
そして降りきったのを確認すると、彼はようやく言葉を発した。
祐「それで?どういった理由でこんな時間に男の子を部屋に連れ込んでいたのかな……クスッ…」
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