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振り絞るようにして、私は声を上げた。
祐「…梨乃?」
こんな風に彼を拒絶などしたことがない。
だからだろう。
彼は驚きの表情を見せて━━
祐「…今日は……そんな気分じゃない?」
そう言って苦笑いする彼。
彼にこんな顔をさせたかったわけじゃない。
祐「いいよ。今日はもう寝よう。ほら、風邪引く。着替えて?」
そう言って散らばったパジャマをかき集めようと手を伸ばした彼の背中に私は抱きついた。
梨乃「…ゆうちゃん……お願い……入れて……」
きっとこのままだといつまでも私たちはその先に進めない。
こんなこと私の口から言うなんてはしたないのかもしれないけれど。
祐「…ん……でも平日だし……無理しなくても……」
梨乃「そんなこと関係ないよ。…梨乃……ゆうちゃんが欲しいの…」
週末に延ばせば、交わることができる保証なんてどこにもない。
やはり、きっかけを作る必要があるのだ。
彼は優しい。
彼が私を大事にしてくれているのは理解っている。
でも、傍にいればいるほど分かる。
その表情から今彼がどう思っているかということを。
あんな風に、諦めに似たような表情をさせているのが自分だということに私は耐えられない。
彼に甘えてちゃ、いつまでたっても深い関係になんてなれない。
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