34人が本棚に入れています
本棚に追加
振り返るとそこには河合がニヤニヤしながら私を見ていた。
いつから私の後方にいたのだろう。
車から降りてすぐに辺りを確認した時には誰もいなかったのに。
梨乃「おはようございます。」
さっきのひとり言のことを追究されるわけにはいかない。
私は平静を装いながら西門を目指す。
河合もまた速足で私を追いかけながら声かける。
河合「今日も早いんだな。ゆうちゃんに送ってもらったか？ん、珍しいな？」
ここを歩いているということは彼が送ってきたということ。
私たちの仲を知る河合は当然そういうことがあることも知っている。
梨乃「…ちょっと帰りに用事があるので今日は送ってもらいました。」
我ながらうまく機転を利かせたと思っていた。
だけど、それは大きな勘違いだった。
河合「ふ～ん……用事ね。なんだ、俺はてっきり、おまえがアイツに腰砕けさせられて送ってきてもらったのかと思ったわ…ﾊﾊｯ……」
梨乃「…っ……」
最初のコメントを投稿しよう！