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心拍数が一気に上がっていく――…
どうして河合はこんなに男女間のことについて鋭いのだろうか。
全てが的中しているわけではないが、的はズレていない。
動揺を見抜かれてしまったのだろうか。
河合が続ける━━
河合「あれ?当たりだった?つか、おい……平日だぞ?ったく、アイツもちったぁ考えればいいのになぁ……」
そう言って私の肩にポンっと手を置いた瞬間――……
梨乃「…っ…た……」
その少しの衝撃に思わず声が出てしまった。
河合「…えっ……ぁ……ちょ…そんなに俺痛くしてねーと思うけど……ん……え……ぁ……ちょ……まさか……」
全て見抜かれてしまったのだろうか。
まるで見透かすような河合のその視線に思わず目を逸らしてしまった。
河合「…あー……そっか……そっか……ん……分かった。あぁ、おまえ、これから体育館か?」
今日はバスケの朝練のある日ではある。
でも、正直、今のこの状態では参加できそうもない。
体調不良と言うことで司令塔だけはしようと思ってはいるけれど。
梨乃「…一応……」
河合「…そっか。まぁ、無理すんな。あぁ、俺、これから教官室行くんだわ。おまえもちょっと来い。ん……よく聞く薬あんだ。それで一日乗り切れ。」
彼に心配させないようにと今朝彼が差し出した鎮痛剤を拒んだ私とすれば、河合のその配慮はとても有難かった。
梨乃「…すみません……いただきます。」
これで河合に借りができてしまった。
それでも、この痛みを乗り切る代償としてそれは価するものだった。
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