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気づいた時には翌朝だった―――
あの後、ご丁寧にパジャマまで着せてくれていた!?
いや……もしかして昨夜のことは夢?
夢であって欲しいという願望からそう期待した私だった。
だけど―――…
祐「…今日は送っていくから……ほら、シャワー浴びよう。あぁ、歩ける?」
その台詞から昨夜のことは夢ではなかったのだと悟った。
それにしても……昨夜は一体?
記憶が大事な瞬間から途切れている。
問題は『コト』を無事終えることができたのかということ。
梨乃「ゆうちゃん……あの……昨夜は……」
顔色を確かめるようにして覗えば、彼がフッと苦笑いする。
祐「…あぁ……そうだね。覚えてないか……ハハッ……」
梨乃「…私……記憶が……その……最後までちゃんと?」
意識を失っていたとしても、その間に『コト』を終えていれば問題はない。
それに『最初だけ』という痛みを感じることなく終えられていたのなら、もうあれ以上の痛みを次回からは感じなくて済むだろう。
ところが―――…
祐「まさか……あんな状態でできるはずがないだろう?しかも気絶した女性になんてさ……ん、梨乃は頑張ったよ。けど……やっぱり無理は禁物だ。それに……俺はもっと梨乃を大事にしたいから…」
彼はそう言って微笑むと私の頭を優しく撫でる。
その笑みに安堵するけれど、やはり申し訳なさの方が大きい。
梨乃「…ゆうちゃん……ごめんなさい……次は私……」
祐「…梨乃……何を焦っているのか知らないけど……俺たちには俺たちのぺースがあるからさ……ん、ゆっくり行こう。いいね?」
言い聞かせるような彼のその真剣な瞳に私が意見などできるはずがなかった。
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