34人が本棚に入れています
本棚に追加
昼休み―――
いつものように生徒会室で昼食を終えた俺と梨乃。
梨乃「ちょっと家に電話してくる。もうすぐ皆が来るだろうからから対応お願いしてもいい?」
これから緊急の会議が行われる。
議題は明日の総会の進行について。
あと10分もすれば一年の役員もちらほらやってくる頃か。
奏多「分かった。じゃ、机動かして準備しておく。」
梨乃「ありがとう。ごめんね。」
スマホを握り締め、そそくさと生徒会室から出ていく彼女。
そんな彼女の背中を俺は見つめていた―――
今日の彼女は……少し変だ。
梨乃とは同じクラスで役員をやっているということもあり同じ時間を過ごすことが多い。
だから彼女の些細な変化にはすぐに気づく。
いつもなら休み時間は静かに本を読んだり、生徒会の書類に目を通したりしている彼女。
だが、今日の中休みは授業が終わったと同時に消えた。
そして帰ってきたと思えば、急遽こんな風に生徒会役員を招集かけたいと言い―――
いつもの梨乃なら考えられないことが今日は何かしら続いている。
今日は少し早めに帰るとのこと。
もしや何か大泉さんとあったのだろうか。
そんなこと、俺が心配するようなことではないことは理解っているが気になってしまう。
それは俺が彼女に想いを寄せているから。
敵わぬ想い―――
でも、今はこうして彼女と親友として傍に入られることで満足だ。
うん、そうだ。
俺がそんなことを心配しなくても、きっと二人はうまくいっているはず。
もちろん、大泉さんが梨乃を泣かせるようなことがあれば、俺は彼女への想いを再燃させる可能性もあるのだが――…
机を動かし、一年生の役員を迎える準備を始める―――
梨乃が用意してくれた配布資料の部数を再度カウントし確認し終えたところで、通路側の窓をを開放。
と、その時だった。
奏多「…おわっ……えっ……?!」
最初のコメントを投稿しよう!