6人が本棚に入れています
本棚に追加
「りかって、学校で習うやつ?」
「ほうよ。ヒカルは賢いのお」
敏夫が目を細める。
「パパは、こくごの先生なんだよ。こうほくこうこうの、こくご!」
勢いよく言ったヒカルが、
「……こくごは、おばけいないよね?」
急に不安げな顔になった。
「ははは、おりゃあせん。
バケモノいうたら、ありゃあ、生物室じゃろ。
ほれ、夜中にガイコツが踊るやらいう」
「えー?! ガイコツ?!」
ヒカルの大きな目に、恐怖と好奇心の入り混じった色が浮かんだ。ぽかんと開いた口のまわりには、クッキーのかけらがついている。
「ほうよ。あとは音楽室の、ピアノが勝手に鳴りよるやらのう。
まあ、国語と化学には、バケモノはおらん」
「よかったー」
二人は顔を見合わせてにっこりした。
最初のコメントを投稿しよう!