父また帰る

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「りかって、学校で習うやつ?」 「ほうよ。ヒカルは賢いのお」  敏夫が目を細める。 「パパは、こくごの先生なんだよ。こうほくこうこうの、こくご!」  勢いよく言ったヒカルが、 「……こくごは、おばけいないよね?」  急に不安げな顔になった。 「ははは、おりゃあせん。 バケモノいうたら、ありゃあ、生物室じゃろ。 ほれ、夜中にガイコツが踊るやらいう」 「えー?! ガイコツ?!」  ヒカルの大きな目に、恐怖と好奇心の入り混じった色が浮かんだ。ぽかんと開いた口のまわりには、クッキーのかけらがついている。 「ほうよ。あとは音楽室の、ピアノが勝手に鳴りよるやらのう。 まあ、国語と化学には、バケモノはおらん」 「よかったー」  二人は顔を見合わせてにっこりした。
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