パンケーキデート

24/26
前へ
/698ページ
次へ
「ちっ、違うもんっ!」  さ、最初に取り分けたら間接キスにはならないでしょ!?と真っ赤になりながら言ったら、温和(はるまさ)に鼻で笑われてしまった。 「音芽(おとめ)、からかわれてるの分かってて全力で反応できるとか……お前のそう言うところ、本当感心する」  そこでふっと真顔になると、私の耳に唇を寄せてきた温和(はるまさ)が、「鶴見(つるみ)がいても同じ提案できたか?」と声を低めて聞いてきて。  私は温和(はるまさ)の声に耳をくすぐられて思わずゾクッとしてから、投げかけられた言葉の意味を考えて言葉に詰まる。 「――そっ、それは」  私がしどろもどろで答えるより先に、温和(はるまさ)が「無理に決まってるよな?」と決めつけるように言ってきて。  私は温和(はるまさ)の冷たい視線に気圧(けお)されて、思わず「はい」と答えてしまう。  実際温和(はるまさ)の言う通りで、反論の余地はないのだけれど……それでも見透かされたようにそう言われると何だか悔しい。 「なになに? 俺だけ仲間外れ?」  カナ(にい)が茶化してくれなかったら、変な空気になってしまっていたかも。  カナ(にい)がいてくれてよかった、と思う日が来るなんて、本当驚きだ。 「今さ、絶対ふたりしてエロい話してただろ?」  そう思ったばかりだったのに。奏芽(かなめ)のバカ! 「そんな話、してません!」  私が即行で否定したのに、温和(はるまさ)が「まぁ奏芽(かなめ)には聞かせられない話だな」とか意味深なことを言ってカナ(にい)を喜ばせてしまう。
/698ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3102人が本棚に入れています
本棚に追加