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「温和、誤解したまま急に出て行っちゃったから……私、すごく不安だったの。――あの時ね、私が温和から距離をあけようとしたのは、アナタに触れられたのが怖かったからじゃないよ？ ただ単に……恥ずかしかっただけなの。温和に迫られてすごくドキドキしてたから、それを知られたくなかっただけ……。だってね、それに勘付かれたら……私が温和を大好きだって気持ち、アナタにバレちゃうじゃないっ。そんなの……恥ずかしすぎるって思ったの」
顔を見て言えたら一番だったんだろうな、って思いつつ。
でも私、とてもじゃないけど温和の顔を見ながらそんなの無理で。
温和にギュッてしがみついたままで言いたいこと、全部言ってしまった。
言ったら一気に恥ずかしくなって、耳までブワッと熱くなった。身体もポカポカ火照りはじめてる。
なのに手だけはどんどん冷たくなってきてて――。
今さらだけど、私、すごく緊張してるっ。
セリフの中にしれっと「大好き」って気持ちを混ぜ込んだけど……うまく伝わったかな。
私の言葉に、温和が身体を固くしたのが分かって、私は恐る恐る彼を仰ぎ見た。
温和が、困ったみたいな顔をしているのを見て、私はちゃんと好きだって思いが伝わったことを、確信する。
でも……ほら。やっぱり温和を困らせちゃった。
このままはダメ。……辛いけど、決めていた言葉、ちゃんと最後まで伝えなきゃ。
温和は逢地先生が好きなんだもん。ここで止めたら、温和を板挟みにしてしまう。それだけは……ダメ。
私、大好きな温和を苦しめたくない。
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