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嘘だ、って思った。
温和が私を……好き？
私が思っている以上に？
温和から、しどろもどろではあるものの、余りに理解の範疇を越えた言葉が返ってきて、私はフリーズしてしまう。
いや、スムーズじゃなかったから余計に真実味があって驚かされた、と言うべきかも？
ご、ごめんなさいっ。正直処理が追いつきませんっ。
「音芽、……返事は？」
そんな私に追い討ちをかけるみたいに温和が私の顔をジッと見つめてきて。両腕に掛けられた彼の手に力がこもる。
私はテンパるあまり勢いで「はいっ」って答えてしまってから、自分は今、何に対する返事をしたの？と思ってしまう。
「じゃあ、俺の彼女になるんで文句ないな？」
温和にそう確認されて、「あ……」と納得してから、すごく嬉しくなって……その癖すぐさま不安になった。
それで、「でも……あのっ。いつもみたいに冗談でした、ザマァ見ろ……とかじゃない、よね？」って付け加えたら、睨まれちゃった。
「ここにきてそれ、有り得ねぇだろ」
ムスッとして吐き捨てられて、いや、でも……私がそう感じちゃうの、そもそも温和のせいだよね？とか思ってしまう。
それに、それよりも――。
ねぇ、温和。逢地先生とのことは、どうなっているの？
そう聞こうとしたら、わずかに先んじて、「なぁ、マジな話、俺のこと、ホントに信じらんねぇの？」って畳み掛けられた。
私は少し考えてから、とりあえず手を緩めて欲しいと訴える。
私、さっきからずっと温和に両腕を掴まれたままなの。
温和はなんでもないみたいに私を捕まえたまま話してるけど、私は温和に触れられていると思うだけで、心臓がバクバクして苦しい。
「こういうの、まだ慣れてないから緊張して話せそうにないです……」
小声でそう言葉にしたら、温和が慌てたように手を離してくれた。
気まずそうにしているところを見ると、もしかして温和、無意識だった？
そんな風に思いながら、私から少し離れてベッドサイドに腰掛けた温和に倣って、私もベッドの上で居住まいを正す。
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