*繋がる心と……

15/42
前へ
/698ページ
次へ
「わ、私っ、あのっ、スタイルよくないし……それにそれにっ」  オロオロしながら温和(はるまさ)の手を握る指先に力を込めたら、 「音芽(おとめ)、ホント、バカだな。見たいって分からねぇの?」  温和(はるまさ)に触れていた手首を掴まれて、もう一方の手と一緒に一纏めに押さえつけられてしまった。 「いい加減……覚悟決めろ」  苛立ったような、切羽詰まったような温和(はるまさ)の声が耳朶(じだ)を侵食して、耳がぶわりと熱くなる。  手の自由を奪われて、不安になった私は、視界が戸惑いにゆらゆらと揺れた。 「お前が欲しくて限界なの、俺だけかよ?」  そんな私の瞳をじっと見つめて、温和(はるまさ)が問いかける。  ――お前は、俺が欲しくないの?  言外にそう込められているのは明白で……。私はその、どこか泣いてしまいそうな切なく(かす)れた温和(カレ)の声音に、ドキッとする。 「そんなこと、ないっ」  私も温和(はるまさ)が欲しい……。  そう意識したら、あられもない想いに、恥ずかしくて堪らなくなった。  それを誤魔化したくてギュッと目をつぶったら、もう一度温和(はるまさ)にキスされた。 「は……る、まさ……」  口付けの合間を縫うように彼の名前を呼ぶ。彼と触れ合うたびに愛しさが込み上げて、感情がぐちゃぐちゃに混ざり合って。何故だか分からないけれど涙が出てきてしまう。  私が名前を呼ぶたびに、それに応えるみたいに彼から与えられるキスの角度が深くなった。  歯列をなぞられたり、べろをすり合わされたり、舌先を強く吸われたり。  温和(はるまさ)から与えられる刺激のどれもがあまりに気持ち良くて、少し怖い。 「んっ、あ、……んっ、はぁ」
/698ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3103人が本棚に入れています
本棚に追加