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私、ずっと温和から「バカ音芽」って言われるたびに悔しいって思っていたけれど……いま言われたそれは全然そんなことなくて。
寧ろ温和の素直じゃないところを愛しい、と思ってしまった。
何て可愛いの!
思わず笑みが漏れて、温和に睨まれてしまう。
「――えらく余裕だな、音芽」
でも、次の瞬間にはスッと目を眇めた温和に射竦められていた。
ひゃー。私、調子に乗りすぎて、温和のドSスイッチを押してしまったかも?
本気の温和、かっこよすぎて心臓が持ちそうにないっ。
考えてみれば、手は自由にしてもらえたけれど、私は依然として服を肌蹴られた状態で、温和の身体の下にいるわけで……。
彼にまたがられるように上に乗られている現状では形勢逆転には程遠かったよぉー!
「はる、まさ……?」
ドキドキソワソワしながら温和を見上げたら、「お前さ、手を解いたら俺に触ってくれるんじゃなかったのかよ?」って見下ろされたの。
綺麗な顔の温和に、見下すように見つめられるの、ゾクゾクしちゃう。
私は胸の奥がキュンと疼いて、自分はどれだけ温和に苛められ慣れているんだろう?って恥ずかしくなった。
私、こんな風に温和に強く出られるの、嫌いじゃない――。
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