*繋がる心と……

21/42
前へ
/698ページ
次へ
 外からは依然として地面を激しく叩く雨の音が聞こえてくる。  それと一緒に、私の頭の中にもザーッて音とともに膜が張っていくみたいで、何も考えられなくなってきた。このまま見つめていたらダメだと思うのに、温和(はるまさ)から視線を外せないの。  と、温和(はるまさ)の顔がグッと近付いてきて、キスされるって思った私はギュッと目を閉じる。  でも、待てど暮らせど全然口付けされる気配はなくて。(じれ)ったさに恐る恐る目を開けたら、温和(はるまさ)にクスッと笑われた。  私の目の前、吐息が絡み合うギリギリのラインで止まっている温和(はるまさ)を潤んだ瞳で睨んだら、「次はお前からキスしろよ……」ってささやかれて――。  その声を耳にした途端、私の心臓はドクンッと跳ね上がる。  ああ、温和(はるまさ)。――お願い、私にもっと命令して? 「出来るよな?」  念押しするようにそう言われた私は、温和(はるまさ)の首筋にそっと手を伸ばして、彼の顔を自分のほうへ引き寄せる――。 「温和(はるまさ)……」  目ぐらい……閉じてよ。  思いながら、私は目蓋(まぶた)を伏せると、彼の唇に自分のそれをそっと押し当てた。  柔らかくて温かい温和(はるまさ)の唇に、私の胸はドキドキと高鳴る。  温和(はるまさ)に……聞こえていませんように……。
/698ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3103人が本棚に入れています
本棚に追加