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「どうしてもって言うんなら――その手で俺の身体に触ればいい」
そうすれば俺の手、掴まなくてよくなるだろ?
言うなり、温和が勢いよく上を脱ぎ捨てて上半身裸になってしまう。
ひゃー!
ちょっ、温和、それ反則っ!
私は頭が沸騰しそうなくらいドキドキして、顔が一気に熱くなるのを感じた。
思わず両目を手で覆い隠してから、それでも隙間からコッソリ覗き見せずにはいられない。
温和のこの姿。中学生のころ運動会で3年生男子全員による「エッサッサ」という半裸の応援を見て、キャーキャー言った中1の頃を彷彿とさせられる。
あれはホントかっこよかったの!
沢山の3年生の中で、温和がダントツに男らしくて素敵だった!
他の女子たちは奏芽に黄色い声を上げていたけれど、カナ兄なんて温和の足元にも及ばないって私、思ったよ。
当時、彼に触れることができたら!って夢想したの、白状しますっ。
お風呂場の時にも思ったけれど、温和って着痩せするタイプだと思う。
脱ぐと、程よく筋肉がついた滑らかな体躯は、本当に男らしくてときめいてしまう。
触れてみたい!って思いはするけれど、じゃあ実際に触っていいよと言われて、「わーい」って手を伸ばせるか?と聞かれたらそれは無理なわけで……。
温和の半裸に馬鹿みたいに照れまくって直視出来ないままの私に、「こんくらいでそんな、いちいち照れんな」って叱られてしまう。
でもっ!って反論しようと思わず目に載せていた手を退けて温和を見た私は、ドキッとさせられてしまった。
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