*繋がる心と……

28/42
前へ
/698ページ
次へ
「ひゃっ――」  温和(はるまさ)に伸ばしたままだった両手が、瞬間二人の身体で押しつぶされて、思わず変な声が出てしまった。  温和(はるまさ)の胸板にギュッと押し当てられた両手のひらに、彼の体温と鼓動が痛いほど伝わってくる。 「はる……まさ……っ」  思わず彼の名を呼んで、おでこを温和(はるまさ)の肩にコツンと載せたら、途端、温和(はるまさ)に両腕を取られてしまって――。  気が付いたら、ワンピースの両袖から腕を抜き取られていた。  今までは、前ボタンを開けられても羽織るようにワンピースを(まと)っていたのだけれど、支えを失った布地はあっけなく腰元で一塊になって、両肩があらわにされてしまう。 「あ……」  スルンッとシフォン地が肌を滑り落ちた感触に、ゾクッと身体を震わせてから、剥き出しになった両肩に気が付いた私は、羞恥心に押し寄せられてカッと全身を火照(ほて)らせる。  それを誤魔化すみたいに温和(はるまさ)に擦り付いて顔を隠したら、背中でプチッと何かが弾けるような感触がして――。  ――え? 何?  そう思った時にはブラのホックが温和(はるまさ)に外された後だった。  支えを失ってハラリと落ちたブラの肩紐が、所在なく私の腕に引っかかっている。  温和(はるまさ)、何て手慣れているの!?  今、温和(はるまさ)から身体を離したら、私、確実に胸をさらけ出してしまうことになる。  そう思ったら、そのまま動けなくなってしまった。
/698ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3103人が本棚に入れています
本棚に追加