温和の初めて

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 温和(はるまさ)とそういうことになった後……、私はそのまま彼の部屋に泊まってしまった。  というより寝落ちして目覚めたら明け方だったっていうべき、かな。  寝返りを打とうとしてふと違和感に目を覚ましたら温和(はるまさ)の腕の中で……お互い裸のままだった。  昨夜の雨音が嘘みたいに外は静けさに包まれていて、時計を見ると4時――。 (朝の……だよね?)  今日は仕事の日。  6時までには自室に戻って支度を始めないと。  そんなことを思いながら、温和(はるまさ)を起こさないよう気をつけつつ恐る恐る布団の中を覗いてみる。薄暗くてハッキリとは見えないけれど、初めてだったから……きっとシーツ、汚してしまってる……。 (うー、このままってわけにはいかない気がする)  何より自分のせいでって思うと、すごく恥ずかしい。  温和(はるまさ)に気づかれないうちにこっそり洗濯してしまいたいっ。けど、その温和(はるまさ)がくだんのシーツの上に乗っかってるから無理で……。  どうしよう。  そんなソワソワした私の気配に温和(はるまさ)が目を覚ましてしまったみたいで、「音芽(おとめ)、起きたのか?」と声がかかった。  私は思わずビクッとしてから、恐る恐る「シーツ……汚れたよね。……ごめんなさい」って消え入りそうな声で謝ったの。  血とか……絶対落とすの大変だって思ったら温和(はるまさ)に申し訳なくて堪らなくて。  なのに彼はすごく優しい声で「そんなの気にしなくていい。って言うか俺の責任でもあんだろ?」って言ってくれたの。  優しく頭を撫でてくれる温和(はるまさ)の手が、子供の頃を彷彿とさせられて滅茶苦茶くすぐったい。
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