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温和の部屋で何とかひとりでお風呂を済ませた私は、彼の視線から隠れるようにして、ベッド下に落ちていたシャツワンピを身につけた。
下着は濡れていて身につけられるような状態ではなかったので、使わせてもらったタオルに包んで胸前に抱きしめる。
「あの、支度あるし……帰るね」
言うと、隣室だからすぐそこなのに、自身も軽く入浴を済ませて部屋着に着替えた温和が、部屋まで送ると言い出して。
「あ、でもすぐそこ……」
言い募ろうとしたら睨まれてそれ以上言わせてもらえなかった。
＊＊＊
「えっと、……ば、バイバイ？」
自室に入ろうとする私を、温和が何か言いたげにジッと見つめてくるのが気になって、別れの言葉をためらいがちに告げる羽目になる。
と、扉が閉まる直前、温和がドアを押さえてきて、玄関内に踏み込んできた。
「温和？」
きょとんと見返す私の手首を、温和にギュッと握られて。
両手に抱えていたタオルと下着が足元に落ちる。
「――んっ！」
そのまま壁に押し付けられて、まるで食べられてしまうんじゃないかと思うような熱のこもったキスをされた。
温和の背後で、まだ閉まり切っていなかったドアがバタン……と思いのほか大きな音を立てて閉じて。
その音にビクッとして温和に押さえつけられた手を一瞬だけギュッと握ったら、それを合図にしたみたいに唇を離された。
朝なのに――。
今からお仕事なのに――。
温和にされた口付けはとっても濃厚で、初心者の私には刺激が強すぎた。
壁に背中を預けていなかったら、きっとそのまま座り込んでしまっていたと思う……。
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