3144人が本棚に入れています
本棚に追加
「思っても、いいの?」
ねぇ、温和。私、アナタのお嫁さんになりたいと願っても……許される、の?
「俺、お前に俺の彼女になれって言ったよな? ――お互いの年齢考えたら、普通それ前提だろーが」
ちったぁ言われなくても分かれ、バカ音芽と付け加えられて、私は思わず彼の横顔をじっと見つめてしまう。
「言ってくれなきゃ……分かんないよ。――だって私、バカだもん」
温和の口癖を逆手にとってそう言い返しながら、私は思わず涙をポロン……とこぼしていた。
***
その頃には車は学校の敷地内に入っていて。
教職員用駐車場の一角に車を停めると、温和が私の手をギュッと握ってくる。
「――何で……泣いてんだよ」
私の顔を心配そうに覗き込んでくる温和がカッコ良すぎて。
私はますます気持ちが高揚して困ってしまう。
「嬉し、かったの……」
温和を見つめ返しながら。私は一生懸命涙の理由を語った。
「そんなこと思ってないって……嘘ついてごめんなさいっ。本当は……心の片隅でずっとずっと夢見てた。小さい頃、温和が言ってくれた言葉が生涯有効だったら良かったのに、って」
気持ち悪くてごめんね。温和は覚えてないことを持ち出して、こんな……。
消え入りそうな声でそう付け加えたら、温和がいきなり頭を下げてきて。
最初のコメントを投稿しよう!