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「え? 霧島……先生?」
逢地先生は私のセリフを繰り返してから、しばし後にハッとした顔をなさる。
「鳥飼先生、それ、本当ですか?」
ふたりして保健室の床にしゃがみ込んだまま、間近で表情を探りあう。
「本当です……」
何だか改めて問われると恥ずかしくなってしまって、うつむき加減でそう言ったら、いきなり逢地先生に抱きしめられた。
「鳥飼先生ぇーっ!」
「ひゃっ!?」
ぎゅーっと抱きしめられて、思わず変な声を出して膝をついてしまった私に、逢地先生が涙混じりの鼻にかかった声で言うの。
「本当に……良かったです。私……鳥飼先生にどうお話ししたらいいか……ずっとずっと悩んでいたんです」
それで仕事中もついぼんやりしてしまって『保健だより』の作成が上の空になってしまって。
そう続けていらした逢地先生に、私は凄く申し訳ない気持ちになってしまう。
こんな逢地先生にあの日の疑惑を聞いても大丈夫かな。
何を馬鹿なことをって笑われちゃうかな。
でも……それを聞かないと私、前に進めない……。
それに何より……。私、逢地先生にお聞きしたいこと、もうひとつ増えてしまったから。
何で鶴見先生からお電話があった時、校長や教頭をすっ飛ばして温和に電話していらしたの?
鶴見先生と同じ2年部の――確かに学年主任ではあるけれど、でもそれだけだよ?
普通に考えて、不自然じゃない?
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