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佳乃花の言葉に、「そんなんじゃないよ」って答えたら、『霧島先輩に聞けないようなアレコレを、一路に聞いてみたいってことよね?』って気持ちを要約されてしまった。
「うん、そういうこと」
私が佳乃花には敵わないなぁって吐息まじりにそう答えたら、『長い付き合いだからね』って返された。
ふたりで笑い合っていたら、隣の部屋のドアが開く気配がして。
「あっ、ごめん。温和来るから切るね」
慌てる余り、思わずありのままの状況を言ったら、『あらっ! ごちそうさま!』って笑われた。
あーん、何か恥ずかしい告白をした気がするっ。
20時過ぎに彼氏が家に来るとか、ね。如何にもこれから何かありますよってバラしてるみたいなもんだもんっ。
これ、絶対金曜日にあれこれ聞かれるコースだっ。
***
温和がチャイムを鳴らすより先にドアを開けたら、物凄く驚いた顔をされた。
「そんなに俺が来るの、楽しみだった?」
チャイムに伸ばした手をそのままに、温和がニヤリと微笑う。
そんな深い意味なんてなくて、ただ音が聞こえたから開けただけ。なのにそんな風に言われて嬉しそうにされたら、温和の言うように耳を澄ませていたみたいでにわかに恥ずかしくなる。
慌てて「ち、違っ……」とうつむいたら「ふぅーん、違うのかよ」ってあごをすくわれた。
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