嵐の前の……

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***  目が覚めたとき、目の前に大好きな人の顔があるのって……嬉しいけど照れるもので……。 (温和(はるまさ)睫毛(まつげ)長いなぁ。唇の形も綺麗(きれぇ)~)  うっとりと好みド・ストライクの顔に見蕩れていたら、いきなり彼の目が開いて、バッチリ目が合ってしまった。 「ひゃっ」  慌てて視線を背けたけれど後の祭りで。 「……随分スッキリしたお目覚めのようですね、音芽(おとめ)さん」  どこか含みを感じさせる声音と、気怠げな表情で言われて、指で唇をなぞられた。  スッキリしてるわけ……ない。  昨夜は緊張してなかなか寝付けなかったしっ!  い、今だって……温和(はるまさ)に触れられて、どうしようもないくらい心臓バクバク言ってるのに。  でもそんな私に比べてみても、温和(はるまさ)のほうが何だかしんどそうに見えるのも確かで。 「温和(はるまさ)……、もしかして、調子悪い?」  恐る恐る手を伸ばして、前髪をかき上げるようにして彼の額に触れたら、いきなりギュッと手首を掴まれた。  それから一瞬だけ私を睨み付けてから、温和(はるまさ)ってば諦めたように盛大な溜め息を落としたの。  え? なんで?
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