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目が覚めたとき、目の前に大好きな人の顔があるのって……嬉しいけど照れるもので……。
(温和、睫毛長いなぁ。唇の形も綺麗~)
うっとりと好みド・ストライクの顔に見蕩れていたら、いきなり彼の目が開いて、バッチリ目が合ってしまった。
「ひゃっ」
慌てて視線を背けたけれど後の祭りで。
「……随分スッキリしたお目覚めのようですね、音芽さん」
どこか含みを感じさせる声音と、気怠げな表情で言われて、指で唇をなぞられた。
スッキリしてるわけ……ない。
昨夜は緊張してなかなか寝付けなかったしっ!
い、今だって……温和に触れられて、どうしようもないくらい心臓バクバク言ってるのに。
でもそんな私に比べてみても、温和のほうが何だかしんどそうに見えるのも確かで。
「温和……、もしかして、調子悪い?」
恐る恐る手を伸ばして、前髪をかき上げるようにして彼の額に触れたら、いきなりギュッと手首を掴まれた。
それから一瞬だけ私を睨み付けてから、温和ってば諦めたように盛大な溜め息を落としたの。
え? なんで?
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