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そうして涙が出なくなるぐらい遮二無二泣いてからやっと、佳乃花にポツリポツリと今日の出来事を話せたの。
佳乃花は何も言わずに黙って話を聞いてくれて。
時折背中をポンポンと優しく叩いてくれたり、頭をそっと撫でてくれたりしながら、大丈夫だよって声をかけてくれた。
「私、やっぱり温和にサヨナラされちゃうのかな」
散々すすってこすって感覚の鈍くなった鼻をグシュグシュ言わせながらそう言ったら、佳乃花が小さく首を傾げた。
「ごめんね、音芽。それはきっと霧島先輩に聞かなきゃ答えなんて出ないと思う」
言って、再度「ごめんね」と謝ってから、「でもね」って続けた。
「私、霧島先輩の音芽への気持ち、嘘じゃないと思うんだけどな？ 音芽は――霧島先輩が初めてをあげた途端に心変わりするような、酷い男だと思ってるの？ もしくは――元カノが現れたからってすぐにそっちに鞍替えしちゃうような、軽薄な男性だと？」
挑むような瞳で見つめられて、私はフルフルと首を振った。
「違う！ 温和、そんな酷い人じゃ――ないっ！」
思わず大きな声でそう言ってから、私は佳乃花の笑顔にハッとした。
「だったら――。霧島先輩のこと、もっと信じてあげなよ？ 先輩は音芽を捨てたりしないと思うな？」
佳乃花の声に、私は胸の奥がズキッと疼いた。
温和ごめんね。
私、アナタのこと、分かってるつもりでこんなに疑心暗鬼に駆られてた。
きっと何か理由があるんだよね？
逢地先生の時みたいに――。
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