近付くなって言ったよな?

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***  温和(はるまさ)はあの電話のあと、本当にすぐに迎えに来てくれた。  マイカーできてくれたってことは、彼はお酒を飲んでいないということで――。 「あ、あの……温和(はるまさ)……。川越(かわごえ)先生とは……」  どこで何をしてきたの?  問いかけたいけれど、無言で視線を投げかけられて、私は思わず口ごもる。  それからアパートにつくまでの間、ずっと何も言えなかった私に、温和(はるまさ)も何も言ってこなかった。    温和(はるまさ)、電話では謝ってくれたけど……でもやっぱり明らかに不機嫌だ。  お酒のせいで少しぼんやりと眠気の残る頭で一生懸命温和(はるまさ)の様子を探る。  おかしいな。  温和(はるまさ)に怒っていたのは私のはずで、温和(はるまさ)は私の気持ちを汲んで反省してくれたんじゃなかったっけ?  あれれ?  ソワソワしながら温和(はるまさ)の様子をちらちらと窺い見ていたら、「着いたぞ」って言われて車から降ろされる。  そのまま無言で手を引かれて、 「あ、あの……こっち温和(はるまさ)()」  何の説明もなく温和(はるまさ)の部屋に連れ込まれて、さすがに非難がましくそう言ったら、睨まれてしまった。  そのまま強引にベッドまで連れて行かれて、半ば突き飛ばされるようにベッドに座らされた私は、何が何だか分からない。  恐る恐る温和(はるまさ)を見上げたら、 「俺、電話の後、ずっとお前が言ったこと考えてたんだけど――」  ベッドサイドに突っ立ったまま、温和(はるまさ)がぽつんとつぶやいた。
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