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それって……温和、この香りの主を……川越先生を……抱きしめたって……こと?
そう思い至ったと同時に、思わず温和の腕をギュッと握っていて。
何で?って問い詰めようとした瞬間、温和と目があって、思わず違う言葉を口走ってしまった。
「一緒に……お風呂……入り、たい」
いつもなら絶対に言わないような言葉。
それを口にして、温和にしがみつく。
私に鶴見先生のにおいが移ってしまったとき、温和があからさまに不機嫌になったのを思い出した私は、でもあのときの温和みたいにはっきりそれを指摘できない自分のことを情けないと感じてしまう。
変わりに言えたセリフが一緒にお風呂、だなんて……自分でも情けなくて泣きたくなった。
私は……温和を問い詰めて聞きたくない言葉を聞かされるのが怖くて……温和みたいに真っ直ぐに怒りをぶつけることが出来ないヘタレだ。
でも温和に別の女性のにおいがついているのも絶対に嫌で、それを容認することも出来ないの。
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