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「音芽、ごめんな。夕方はまた一緒に帰れねぇかもしんねぇけど……絶対早めに帰るから……。夜は一緒に過ごそう。――な?」
昨夜、私たちは結局お風呂を別々に済ませて……それから同じ布団で眠った。
お風呂、一緒にって言ったからには私、覚悟を決めていたんだけど、温和が、今回みたいなキッカケじゃなく、私が本心から自分と一緒に入りたいって思えるまで保留にしたいって言ってくれて。
私自身もその方が絶対嬉しいって思ったから、そうすることにしたの。
身体に付いていたフローラル系の香りを落とした温和は、いつも通りの優しい洗剤のにおいに戻っていて。その香りで包み込むように私を沢山沢山抱きしめてくれた。
そうして、愛されてるって実感できる甘くとろけるような時間をたっぷりと私に与えてくれた。
初めてのときは痛くて恥ずかしくて一杯一杯だった行為も、2度目は温和に触れてもらえる悦びをちゃんと実感することが出来て……温和とひとつになれたときは本当に幸せだって思えたの。
だからかな。
温和と一緒に出勤して、別れ際に彼から「今日も昨日みたいになるかも」って言われたとき、思ったほど不安を感じずにいられたのは。
「温和の行動は全て私のため、なんだよ……ね?」
彼の手をギュッと握ってそう問いかけたら「当たり前だろ」っておでこにキスをくれて。
私、それだけで頑張れる、って思えたの。
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