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それと同時に、温和がそんなことをしなくてもいいように、私自身がしっかりしなきゃって思ったりもして。
彼が、何のために川越先生と行動をともにしているのか。
その辺も、私がすべてを思い出せたなら分かるかな?って思うから。
温和は無理に思い出そうとしなくていいって言ってくれたけれど……でも……私はやっぱり自分の中の“何か”とちゃんと向き合いたい。
温和に守られてばかりは、イヤ。
私はもう、彼の後を何にも考えずに付き歩いていた、小さな“女の子”ではなく、温和の“彼女”なのだから。
***
放課後――。
私は敢えて職員室には行かず、教室で仕事を済ませようって思った。
職員室に行ったら、イヤでも温和と川越先生のことが気になってしまうし、そういうのが目に入れば、いくら気にしないぞって心に決めていてもソワソワしてしまうもの。
それに私、昨日結局ヘタレてしまって仕事を済ませずに帰ってしまったから、今日はそれも含めて頑張らないといけない。
仕事に集中するためにも、なるべく刺激は少なめにしておいた方が自分のためだって思ったりもして。
「――あ、パソコン」
教室に備え付けの教員用デスクに腰掛けて書類を広げてみたものの、パソコンで作らないといけない文書がひとつあったのを思い出した。
(職員室の机に置いてあるノートパソコン、取ってこなくちゃ)
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