*俺がお前の

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 何も言えないけど自分を信じて欲しいと言った温和(はるまさ)の気持ちを思うと、居たたまれなかった。  私にすべてを話すことが出来たなら、温和(はるまさ)自身はきっとかなり楽になれたはずなのに。  私がもっともっとしっかりしていれば、温和(はるまさ)を苦しめることもなかったのにな。  そう思ったら謝らずにはいられなくて。 「バーカ。お前を腫れ物みたいに扱ったのは俺の勝手な判断だろ。謝る必要なんてねぇんだよ」  ギュッと唇を噛み締めた私の頭をポンポンと軽く弾むように優しく撫でると、温和(はるまさ)が真剣な顔をして私を見つめてきた。 「なぁ音芽(おとめ)。めちゃくちゃ今更なんだけど……本当にどこもしんどくないか? ……その……無理とか……してないか?」  私に過保護にしたのは自分の決めつけだから、みたいに言いながら、舌の根も乾かないうちにそんな風に心底心配(甘やか)してくれる。  言葉遣いや態度こそ幼い頃に比べて随分粗野な感じになってしまったけれど、根本的な部分では温和(はるまさ)は昔と何ひとつ変わっていないんだって思った。  いつもいつも、私を優しく包み込んでくれる最愛の人。 「うん、大丈夫だよ」  無理なんてしていないし、過去に触れそうになるたびあんなに痛んだ頭も、全部思い出してからは嘘みたいにすっきりしてる。  確かにね……ファーストキスの相手が温和(はるまさ)でなかったことは今でも物凄くショックだけど……でも……済んだことを嘆いたって仕方ないって思えるのは、アナタがそばにいてくれるから。
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