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「温和がね、そばにいてくれるから……私、大丈夫」
温和の目をしっかり見つめ返して彼の頬に触れたら、温和が「バカッ。お前、ここ、まだ学校の駐車場っ」って。それ、いつも私がアナタに言ってるやつだね。
そう思ったら何だかおかしくて笑ってしまった。
温和はそんな私を決まり悪そうに睨みつけてきたけれど、それでもすぐにふっと、柔らかい顔になって「帰ろうか」ってエンジンをかけた。
あのね、温和。今日は私、どこにも寄り道したくないな?
早くアパートに帰って……どっちの部屋でもいいからアナタと深く繋がりたい。
言わなくても通じる、とか……無理、かな?
ハンドルを握る温和の横顔を上目遣いにソワソワと窺い見ながら、そんなことを考える。
目は口ほどにものを言うって言うけれど、私の視線はアナタと以心伝心できるかな?
「……夕飯、今夜は後でコンビニに買いに行くんでいっか」
そんな私に気付いているのかいないのか。
温和がポツンとそうつぶやいて……。
「今は早く家に帰ってお前を抱きたい……」
って。
確かにそう、言ってくれた。
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