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「いや、ちょっ、待っ、音芽っ」
温和が慌てたように私の名前を呼ぶけれど、知りません。
だって温和もさっき、私に同じことしたよ?
温和だけがOKで、私はNGとか……ないよね?
「私がこういうことをしたいの、温和にだけだよ?」
温和の前にそっと屈み込むと、私は顔に落ち掛かってきて邪魔な髪の毛をそっと耳に掛けた。
そうしてそのまま温和の大事なところにキスをする。
でも……そこではたと動きが止まってしまった。
えっと……この後はどうすれば……いいの?
あーん、してパクッ?
でもそれじゃ何か違う気がする。
戸惑いにソワソワと温和を見たら、私を熱っぽく見返す視線と目が合った。
「もうしてくんねぇの?」
ニヤリと勝ち誇ったように言われて、私はまたしても形勢逆転になってしまったことを知る。
「し、しないわけじゃ……なくてっ」
出来ないの……。
やり方が……わからないの……。
小さな声でゴニョゴニョと言い訳をしたら、ククッと笑われた。
「音芽。それは追々教えてやるから……今日は諦めろ」
言われて、身体を起こした温和に、そっと頭を撫でられた。
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