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「でもっ……」
私が温和を自分と同じぐらい気持ちよくしてあげたいのも、自分がしてもらったのと同じぐらい優しくあなたに触れたいのも、本心だと分かって欲しい。
やり方さえ分かったら、こんなふうに中途半端に動きを止めたりしないのに。
そう思ったら何となく悲しくなって目尻にじわりと涙が滲んだ。
「なぁ音芽。そこへの接し方は分からなくても、こっちへは分かるだろ? お前からキス、してくれよ」
滲んだ涙をそっと指先で拭われて、温和が自分の口をちょんちょん、とつついて私の顔を見つめてくる。
私は体を起こすと温和の首筋に手を回して、そっと目を閉じてから、おずおずと彼の唇にキスをした。
それからいつも温和がしてくれるようにそっと口を開いて舌先を彼の唇の隙間から挿し入れる。
温和の口中を探るように彼の舌を探して、いつもしてもらうみたいに優しく舌先で撫でるように触れる。
温和は私のぎこちないキスに優しく応えてくれてから、小さく一言「上手」って褒めてくれた。
それから私をギュッと抱きしめて耳元に唇を寄せてきて――。
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