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「え？ え？ なんで？ 佳乃花は違う意味だって言うの？」
ぷぅっと口を尖らせて聞いたら、「絶対違うと思うな？ でも……私から言ったら野暮になるし、言いません」って口を閉ざされてしまった。
もぉ、なんて友達甲斐のないっ！
ほっぺを膨らませて佳乃花に詰め寄ろうとしたら、チャイムが鳴った。
時計を見ると21時を回っていて。
この時間の訪問。きっと仕事を終わらせて駆け付けてきた一路に違いない。
一路なら佳乃花みたいに意地悪しないでヒント、くれるかな？
そう思って期待しながら玄関を開けたら――。
「え？ 何で……。はる、ま、さ……？」
予想に反して、温和の背後に立つ感じで一路が立っていた。
「ごめん、音芽。霧島先輩に、着いたら自分にも声をかけろって言われてて」
一路が、スマホを見せながら私に謝ってくる。
（いつの間に連絡先交換したの！）
思ったけれど、そのきっかけを作ったのは多分私。温和が佳乃花と一路のアパートまで私を迎えにきてくれた時だと思う。
高校時代の先輩後輩関係の序列は、学校を卒業して何年も経った今でも有効らしい。
温和に頭が上がらない様子の一路を見て、小さく吐息が漏れた。
「温和のバカ」
せっかくの幼なじみたちとの楽しい飲み会なのに。
温和への愚痴や惚気話、あなたがいたら出来ないじゃないの！
などと思っていたら、玄関先で固まったままの私に気付いた佳乃花が、そばまで来て耳打ちをしてくる。
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