お前は付けるってことだな?

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「え……?」  突然温和(はるまさ)から掛けられた言葉に、佳乃花(かのか)のほうに近付こうと浮かせていたお尻が、中途半端なまま止まる。 「だから。俺が――お前に……その、そういうの渡したら……ちゃんと付けるんだな?って聞いてんだよ」  何度も言わせるな、バカ音芽(おとめ)。  そっぽを向いて決まり悪そうにそう付け加える温和(はるまさ)に、私は依然としてフリーズしたままで。 「ほらほら、音芽。返事しなきゃ!」  佳乃花(かのか)に、テーブルについたままだった手をつつかれて、私はやっと喘ぐように慌てて空気を吸い込んだ。  無意識のうちに息を止めてしまっていたみたい。  一生懸命呼吸を整えるように肩でゼェハァしながら、隣に座る温和(はるまさ)を窺い見る。 「あ、あの……温和(はるまさ)、それって」  恐る恐る温和(はるまさ)の方を向いたら……「そういう意味だ。いちいち確認いらねぇだろ」って、こっちを見てくれないの。  そこは「そういう意味だよ、音芽」とか、甘い声でささやいてくれて、ニコッと微笑みかけたりしてくれるところじゃないの?  思ったけれど、佳乃花(かのか)一路(いちろ)が顔を見合わせてから 「音芽、よかったね」 「音芽、よかったじゃん!」  って言ってくれて――。  私は2人の反応ににわかに実感がわいて、頬がぶわりと熱を持った。
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