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途端、待ち構えていたみたいにあごをすくわれて、唇を塞がれた。
「っん、あ……」
唇をほどくと、熱に浮かされたような顔をして温和が私を見つめてくるの。
「バカ音芽。そんなん当たり前だろ。ちょっと煽ったらすぐそんなになるお前のこんな顔、他の誰に見せたいって言うんだよ？ ――俺だけが独り占めしたいに……決まってんだろ？」
ひゃー。こんな「男の人」の顔をした温和、私だって誰にも見せたくないです！
さっき温和が「今は言わなくていい」って私の口を塞いだ気持ちが何となく理解できて、私はほわっとした幸せな気持ちに包まれる。
「あのね、温和。ひ、左手薬指の！ 温和からなら、例えナットだったとしても絶対つける！ でね、みんなに私、温和のお嫁さんにしてもらえる約束取り付けたのーっ！って主張しまくっちゃう」
えへへ。
そう言って温和の手をギュッて握ったら、いきなり温和に膝裏をすくい上げられ、抱き上げられた。
「――さすがに……無理だわ……」
そうしておいて、ポツンとつぶやかれた言葉に不安になりかけたら、「なぁ音芽。片付けとか放っぽって……今すぐ抱かせろよ」って見下ろされた。
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