*束の間だけ逆?

15/20
前へ
/698ページ
次へ
「あっ、……はぁ、んっ」   私の動きに合わせるように、肉ひだをこすりながら、温和(はるまさ)が私の中からほんの少し遠ざかる。  これ以上腰を上げてしまったら、温和(はるまさ)が自分の中から居なくなってしまうかもって思ったら、それは嫌だと感じてしまって、そこで腰を止める。  それから躊躇(ためら)いがちにもう一度彼の上に腰を落としたら、今温和(はるまさ)に追いすがった内壁がキュン、と疼くように彼を締め付けたのが分かった。 「い、あ……やんっ」  その感触がやけに生々しく、そして同時に恥ずかしいくらい気持ちよくて。  ギュッと温和(はるまさ)に抱きついてうつむきがちに顔を隠したら、 「音芽(おとめ)、自分で動くの、気持ちいいな?」  温和(はるまさ)が私の頬にかかる髪の毛を耳に掛けて表情が見えるようにして、そう問いかけてくる。 「分か、んなっ」  本当は気持ちいいと自分でも分かっているくせに、恥ずかしくて素直になれなくて、分からないと嘘をついてしまった。  でもきっと温和(はるまさ)は全てお見通しで。 「そっか、分かんねぇか」  クスッと笑うように小さくつぶやくと、「じゃあ、俺が好きなように動いたんで構わねぇよな?」って私を抱きしめてから、ズルリ、と自身を引き抜いてしまった。
/698ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3103人が本棚に入れています
本棚に追加