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さり気なく彼女の指のサイズを測るとか……そういうことができないのが温和なんだとしたら……。
貴方が、回りくどいプロポーズは性分じゃないって言うんだとしたら……。
私、サプライズじゃなくてもいい。
「ここで不器用な温和さんにスペシャルな情報です。――ジャジャーン! なんと私の左手薬指は7号サイズですっ!」
温和に左手を見せてそう告げたら、その手をギュッと握られた。
「7号とか……細いし、ホントちっこいな」
そのまま手の甲にそっと口付けられて、私は凄く照れてしまう。
ちょ、さっきのプロポーズより今の方がよっぽどそれっぽいですよ!?
「は、温和……?」
恥ずかしくて、握られた手を引っ込めようとするのに、温和ったら全然離してくれなくて。
ばかりか、手をグイッと引っ張られて、真正面からきつく抱きしめられてしまう。
温和は当然のように私の頭を彼の胸元に押さえつけて、温和の顔を振り仰げないようにして、
「その……指輪だけどな。――どんなのがいい?」
って聞いてくるの。
私、自分と同じボディソープの香りに包まれた、でもまとった服の柔軟剤の香りなんかが違うから、やっぱり温和なんだって実感させられる香りを胸一杯に吸い込みながら――。
照れ屋さんで顔を見せてくれない温和に言うの。
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