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「父さん、母さん、何で鳥飼家に来てるんですか……」
温和が身体に絡み付いた紙屑を振り払いながら呆れた声を出す。
「だって温和、音芽ちゃん連れて結婚の挨拶に来るって言うからぁ〜」
うちの母より長身――165cmは越えてるかな?――な温和のお母さんが、悪びれた様子もなくニコリと笑う。
「だから……それを家で待ってて?って俺、昨日伝えたはずなんですけどね?」
温和が溜め息まじりに言うけれど、それにうちの母が応戦するの。
「ハル君、同じこと何度もするのしんどいでしょー? 堅苦しいのは一気にパパッと済ませちゃって、みんなでパーティーしましょうよって話になったの」
「お母さんっ!」
温和の気持ちを思うといたたまれなくて、思わず母をたしなめたら、うちの父と温和のお父さんが「まぁまぁ」って双方の奥さんの肩を持つの。
カナ兄はその様子を楽しげにニヤニヤして傍観してて。
「お兄ちゃんも見てないで止めてくれたらよかったのに!」
言ったら、カナ兄が瞳を見開いたのが分かった。
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