メッセージ

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*** 「こちらです。ご確認ください」  温和(はるまさ)と私の前に赤いリボン付きの白のリングケースが置かれる。  温和(はるまさ)にお願いします、と言う視線を投げかけたら彼がうなずいて、無言でリングケースを手に取って。 「音芽(おとめ)、開けるよ?」  って優しく声をかけてくれるの。  お互いに自分が刻印した側の指輪――温和(はるまさ)は私の、私は温和(はるまさ)の――を手に取る。  リングの内側に目を凝らして、自分が相手に送ったメッセージがちゃんと間違いなく彫られていることを確認して――。  温和(はるまさ)がそのまま付けて帰りますって宣言して、私の指にはまるクローバーリングを抜き取って、受け取ったばかりのリングを嵌めてくれた。  クローバーリングが、代わりにリングケースに収まる。 「あ、あのっ……私まだ……」  言うと「俺もまだお前からのは見てねぇよ」って耳打ちされて。  私は温和(はるまさ)の左手薬指に彼のリングを嵌めながら、ドキドキが止まらない。 「裏側の刻印はお間違いございませんでしたか?」  聞かれて、温和(はるまさ)と顔を見合わせる。  私がうなずくのを確認して、温和(はるまさ)が「大丈夫です」と答えてくれて。 *** 「ありがとうございました。――末長くお幸せに」  店員さんの言葉に見送られて、温和(はるまさ)とふたり、小ぶりの白い紙袋を手に歩く。  中には小さなリボンのかかったリングケースがひとつ。  でももともと中に入っていた結婚指輪(ペアリング)はお互いの指に嵌まっていて、代わりに今まで私が仮初(かりそめ)でつけていたクローバーリングがポツンと収まっている。
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