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「そうだね。私もなっちゃんと同じようにする……」
どうも私は鶴見先生に対する偏見が先に立ちすぎている気がする。
私と鶴見先生の間にあったことは、なっちゃんと鶴見先生の間には関係のないことなのに。
ダメだなぁって思う。
「ごめんね、変な言い方しちゃった」
素直に謝ったら、なっちゃんに「……大我さんとオトちゃん、何かあったりした?」って聞かれてしまって動揺してしまう。
「えっ、……何で?」
って聞いた声、上擦ってなかったかな?
「あんなに仲が良かったのに、オトちゃん、今まで彼のお見舞いに来なかったし……それに……」
そこでなっちゃんは少し言い淀んでから意を決したように続ける。
「それに……大我さんもオトちゃんが来てくれない、って言わなかったから……なんだか不自然な気がして」
なっちゃんはすごく鋭い女性だって思った。私、何て答えるべき?
うまく言葉がつむげなくて動きの止まってしまった私に、なっちゃんが淡く微笑んだ。
「ごめんね、実は私、薄々分かってるの」
机についたままの手を握られて、顔をじっと見つめられた。
知ってる?
知ってるって……何を……どこまで?
彼女の言葉に、喉がからからに渇いてしまうぐらい緊張して、私はなっちゃんを直視することが出来ない。
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