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「大我さん、オトちゃんのこと、好きだった……よ、ね?」
やがてポツンと小さく告げられた言葉に、私は期せずして手がビクッと跳ねてしまった。
「もぉ、オトちゃんってば正直者なんだから」
私の反応に困ったように笑うなっちゃんに、私はますます追い詰められる。
「もしかして……大我さんが事故に遭う前、オトちゃん、彼から告白とか……された?」
なっちゃんが私に触れた手、小さく震えてる。
きっと、今どうしよう?って小賢しいことを思いめぐらせている私なんかより、なっちゃんの方が何百倍もしんどいはずだ。
そう思った私は、鶴見先生に怖い思いをさせられたのは伏せることに決めて、でも……そういうニュアンスのことは言われたのだと素直に認めることにした。
私は嘘を付くのが死ぬほど下手クソで……きっとそんなことをしたらもっともっとなっちゃんを傷つけてしまう。
「私に……鶴見先生は同期だからっていう甘えがあったんだと思います。……私が鈍感すぎて、きっと彼に勘違いさせてしまってて……。霧島先生――温和のことを好きなくせに……知らず知らず思わせぶりな態度を取ってしまっていたのかなって……。黙っていてごめんなさい」
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