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温和やカナ兄からも、私の軽率な行動にも問題があったのだと散々叱られた。
私が毅然とした態度で突っぱねなかったから、つけこまれたのだと。
鶴見先生とふたりきりでパンケーキデートに行く約束までしてしまった私には、当たり前だけど反論する余地なんてなくて。
だからって力ずくでどうこうしていい道理にはならないし、そこは鶴見先生が全面的に悪いと温和達からは言われたけれど、いつかその辺も含めて鶴見先生に真意を問うことが出来るといいな、とも思ってるの。
もちろん、なっちゃんのいないところで。
聞くときには温和にも一緒にいてもらおう。
ふたりきりになることは、温和のためにもなっちゃんのためにも、そして鶴見先生と私自身のためにも……。誤解を招きかねないから避けなきゃダメだ。
***
私の謝罪に、なっちゃんが「オトちゃんは悪くないよ」って言ってくれた。
「もしかしたら、私、大我さんが失恋で弱っていたところへつけ込んだだけに過ぎないのかもしれないけれど。でも……。でも……そこから徐々にでもいいから私自身を好きになってもらえたらそれでいいかなって思ってるの」
言って、ふわりとはにかむなっちゃんを見て、私は鶴見先生がなっちゃんを大事にしてくれることを心底願わずにはいられなかった。
私が知っている同期の鶴見先生は、穏やかで優しい人だったはずだから。
私のことをどうこうしようと動いていた頃の彼こそが、どうかしていたんだと思いたい。
こんなこと言ったら温和やカナ兄には叱られてしまうかも知れないけれど……。
私はやっぱり心のどこかで自分の知っている鶴見先生を信じたいと思っていて。
それに、そうでないと……。あんな怖いのが鶴見先生の素だったりしたら、なっちゃんが幸せになれないもの。
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