お見舞い

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 きっと、鶴見(つるみ)先生が言うように、私はみんなから守られること、気遣われることに慣れすぎていて……鶴見先生からのそういう負の信号でさえもキャッチし切れていなかったんだ。  人間誰しも、基本的には言われなければ相手の気持ちなんて察することは出来ないものなのかもしれない。  でも……私はそう言うのが人1倍鈍いと言う自覚があるの。  気づかないことはきっと、相手に対してとても残酷なことでもあるんだよね。  私は常に8割近く温和(はるまさ)しか見えていなかったと断言できる。  そんなに注視していたはずの温和(はるまさ)の気持ちでさえ、散々取り違えていた鈍感娘だもの。  残りの2割で、周りの人たちの、一体何が見えていただろう。 「……ごめん、なさい」  無意識に、きっと沢山沢山鶴見先生にも酷いことをしちゃってたんだ……。  そう思ったら、自然と謝罪の言葉が口をついてしまって――。  そんな私の態度に、温和(はるまさ)が心底腹立たしげに舌打ちをした。 「バカ音芽(おとめ)。何でそこでお前が謝るんだよ! ――どんな理由があったにせよ、悪意を持って誰かを傷つけてやろうだなんて、人として許されるわけねぇだろ!」  温和(はるまさ)は私を責めるのと同時に、鶴見先生も非難していて。
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